
主任技術者・監理技術者の専任工事現場の兼任
令和6年12月13日より、建設業法の改正に伴い、現場技術者(主任技術者・監理技術者)の専任に関する要件が見直されました。これにより、一定の条件下で現場技術者の兼任が可能となり、施工体制の柔軟性が向上します。
1. 請負金額が4,500万円(建築一式工事は9,000万円)未満の場合の兼任
今回の改正により、請負金額が4,500万円未満(建築一式工事の場合は9,000万円未満)の工事については、工事現場への専任は求められなくなりました。
2. 請負金額が4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上の場合の2現場までの兼任
請負金額が4,500万円以上(建築一式工事の場合は9,000万円以上)の工事では、原則として主任技術者・監理技術者の専任配置が求められます。しかし、以下の条件を満たす場合には、最大2つの現場まで兼任が認められます。
- 請負金額:
1億円(建築一式工事の場合は 2億円)未満 - 兼任現場数:
2現場まで - 工事現場間の距離:
兼任する工事現場同士が、1日で巡回可能であり、移動時間が概ね2時間以内であること。 - 下請次数:
工事全体の下請けが3次までであること。 - 連絡員の配置:
各工事現場に、主任技術者・監理技術者との連絡や必要な措置を講じるための者(連絡員)を配置すること。特に、土木一式工事や建築一式工事の場合、連絡員は当該工事に関する1年以上の実務経験を有する者である必要があります。 - 施工体制を確認する情報通信技術の措置:
CCUSまたはCCUSとAPI連携したシステム等を利用し現場作業員の入退場が遠隔から確認できること。 - 人員配置計画書の作成・保存:
兼任に際しては、人員の配置を示す計画書を作成し、適切に保存することが求められます。 - 情報通信機器の活用:
各工事現場において、情報通信技術(ICT)を活用し、遠隔地からでも現場の状況確認や指示が適切に行える体制を整備すること。
これらの条件を満たすことで、主任技術者・監理技術者は2現場までの兼任が可能となり、技術者不足の緩和や業務効率の向上が期待されます。
3. 請負金額が1億円(建築一式工事は2億円)以上の場合の専任義務
請負金額が1億円以上(建築一式工事の場合は2億円以上)の大規模工事においては、主任技術者・監理技術者の専任配置が原則として求められます。これらの工事では、工事の複雑性や重要性から、技術者が他の現場と兼任することなく、当該工事に専念することが必要とされています。
まとめ
今回の法改正により、現場技術者の専任義務に関する要件が緩和され、一定の条件下での兼任が可能となりました。これにより、技術者の効率的な配置や業務の柔軟性が向上し、建設業界全体の生産性向上が期待されます。ただし、兼任に際しては、上記の条件を十分に満たすことが求められますので、適切な体制整備と管理を行ってください。