
離婚届を役所に提出する前に
離婚を検討されている方にとって、離婚給付公正証書の作成は、離婚後の生活を安定させるための重要な手段となります。この公正証書は、離婚に伴う財産分与や養育費、慰謝料などの取り決めを法的に確実なものとし、万が一相手方が支払いを怠った場合でも、強制執行を可能にする効力を持っています。以下では、離婚給付公正証書の役割と、離婚給付の合意ができていない場合の対処法について詳しく解説します。
離婚給付公正証書の役割
離婚給付公正証書とは、離婚に際して取り決めた財産分与、養育費、慰謝料などの内容を公証人が作成する公文書です。この公正証書を作成することで、以下のようなメリットがあります。
- 法的効力の強化:公正証書には「強制執行認諾文言※1」を盛り込むことが可能で、これにより相手方が支払いを怠った場合でも、裁判を経ずに給与や預貯金の差し押さえといった強制執行手続きが可能となります。
※1:金銭を支払わなかったら強制執行されてもかまわないと受諾した旨等 - 取り決め内容の明確化:公正証書作成時には、公証人が当事者双方の合意内容を確認し、法的に有効かつ明確な文書として作成します。これにより、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
- 証拠能力の確保:公正証書は公文書として高い証拠能力を持ち、万が一の紛失や改ざんの心配もありません。
注意)金銭以外の財産の給付については、公正証書によって強制執行することはできません。
公正証書の作成には、公証役場での手数料が必要となります。手数料は取り決める金額に応じて変動しますが、例えば養育費や財産分与の総額が500万円の場合、約1万7千円の手数料がかかります。
離婚給付の合意ができていない場合
離婚に伴う給付内容について当事者間で合意が得られない場合、以下の手段を検討することができます。
- 家庭裁判所での調停:家庭裁判所の調停手続きを利用し、第三者の仲介のもとで話し合いを行います。調停が成立すると、調停調書が作成され、これも公正証書と同様に強制執行力を持ちます。
- 弁護士や専門家への相談:法律の専門家に相談することで、適切なアドバイスやサポートを受けることができます。専門家の助けを借りて交渉を進めることで、合意に至る可能性が高まります。
合意が得られないまま離婚を進めると、後々のトラブルや不利益を招く可能性があります。そのため、離婚前にしっかりと話し合い、必要に応じて公正証書を作成することが重要です。
離婚は人生の大きな転機であり、感情的にも大変な時期かと思います。しかし、離婚後の生活を安定させるためには、法的に有効な取り決めを行い、それを確実なものとする手続きが不可欠です。離婚給付公正証書の作成は、そのための有力な手段となります。
離婚給付公正証書は公証役場で作成できます。公証役場では相談は無料なので、ぜひ前向きにご検討ください。