遺言書を作成する際に、意外と見落とされがちなのが「遺言執行者(いごんしっこうしゃ)」の指定です。
遺言書に書かれた内容を、実際に手続きを通じて実現するのが遺言執行者の役割です。
もしこの遺言執行者を指定していないと、相続人同士の意見の食い違いや手続きの遅れが発生することもあります。

本記事では、遺言執行者の基本的な役割から、指定するメリット、注意すべきポイントまで、行政書士の視点でわかりやすく解説します。


◆遺言執行者とは?

遺言執行者とは、遺言書の内容を実際に実行する人のことです。
たとえば、

  • 不動産の名義変更(登記)
  • 銀行口座の解約や預金の分配
  • 財産の名義変更や相続人への引き渡し
    といった手続きを、遺言書の内容に基づいて行います。

遺言書があっても、実際にその内容を実現するには多くの事務手続きが必要です。
もし遺言執行者を指定していなければ、相続人全員の合意が必要になり、手続きがスムーズに進まないことがあります。
特に、相続人の中に疎遠な親戚がいたり、意見が分かれたりすると、トラブルの火種になってしまうことも少なくありません。


◆遺言執行者を指定するメリット

① 手続きがスムーズに進む

遺言執行者がいれば、その人が中心となって各種の手続きを進めることができます。
不動産の名義変更や金融機関での相続手続きも、相続人全員の印鑑が不要になる場合が多く、スピーディーに進行します。

② 相続人同士のトラブルを防げる

相続手続きの中で、感情的な対立が生まれることは珍しくありません。
遺言執行者が中立的な立場で手続きを代行することで、相続人同士が直接やり取りする機会を減らし、トラブルの発生を防ぎます。

③ 被相続人の「意思」を確実に実現できる

遺言書は、被相続人(亡くなった方)の最終意思を示す重要な書面です。
遺言執行者がいれば、その意思を正確に読み取り、法的手続きを通して確実に実行してもらえます。
相続人の意見や都合に左右されにくく、被相続人の想いを形にできるのです。


◆誰を遺言執行者に選ぶべきか?

遺言執行者は、個人(家族・親戚)でも専門家(行政書士・弁護士など)でも指定できます。
ただし、誰を選ぶかによってメリット・デメリットが異なります。

●家族や親族を指定する場合

信頼できる家族を遺言執行者にすることで、費用を抑えられ、身近な人が手続きを進められます。
ただし、他の相続人との利害関係が絡むと、公平性が保ちにくい場合があります。
たとえば「長男が執行者であることに他の兄弟が不満を持つ」といったケースです。

●行政書士などの専門家を指定する場合

行政書士など第三者の専門家を指定すれば、法律に基づいて中立・公平に手続きを進められます。
相続人の感情に左右されず、専門知識を活かして登記や金融機関の手続きを正確に進めることができます。
また、行政書士は遺言書の作成段階から関わることができるため、内容と背景をよく理解したうえで執行にあたることが可能です。


◆遺言執行者の主な仕事の流れ

遺言執行者は、遺言書に基づいて次のような流れで手続きを行います。

  1. 遺言書の確認と開封手続き(検認)
     自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認手続きが必要です。
     公正証書遺言の場合は、この手続きは不要です。
  2. 相続財産の調査
     預金や不動産など、遺言書に記載された財産を確認し、一覧を作成します。
  3. 名義変更・引き渡し手続き
     不動産の登記変更や銀行の相続手続きを行い、遺言の内容どおりに分配します。
  4. 手続き完了の報告
     すべての手続きが完了したら、相続人に対して報告を行います。

このように、遺言執行者には多くの法的責任と手間が伴います。
そのため、信頼できる人、もしくは専門知識を持った行政書士などの専門家を選ぶことが重要です。


◆遺言執行者を指定しなかった場合のリスク

遺言書に遺言執行者の指定がない場合、相続人全員で協議して決めることになります。
しかし、相続人の意見がまとまらないと、手続きが停滞してしまいます。

また、相続人の一部が手続きを拒否した場合、不動産の登記や銀行の解約が進まないこともあります。
被相続人の意思を早く実現するためには、遺言書の段階で遺言執行者を決めておくことが何より大切です。


◆行政書士を遺言執行者に指定するメリット

行政書士は、相続や遺言に関する書類作成・手続きの専門家です。
遺言書の内容を理解し、関係法令を踏まえた上で確実に手続きを進めます。
また、遺産の分配や登記、金融機関との調整まで一貫して対応できるため、
ご家族に負担をかけずに安心して任せることができます。

さらに、行政書士は「中立的な立場」で動くため、相続人間の感情的な摩擦を避けながら、
公平かつ丁寧に執行を行うことができます。
「家族に迷惑をかけたくない」「相続人同士が揉めないようにしたい」とお考えの方にとって、
専門家を遺言執行者に指定することは大きな安心につながります。


◆まとめ

遺言書を作成する際には、「内容」だけでなく「誰が実行するか」も重要なポイントです。
せっかく遺言書を残しても、実行されなければ意味がありません。
遺言執行者をあらかじめ指定しておくことで、被相続人の意思が確実に実現し、
家族の負担やトラブルを大きく減らすことができます。

円満な相続のために――。
行政書士として、遺言書の作成から遺言執行まで、一貫してサポートいたします。
お気軽にご相談ください。

最後に
私自身の主観ですが、遺言執行者は身近な人(配偶者や子)を選び、
実際に遺言実行をするときにその時一番信頼出来る専門家(行政書士等)に
お願いすることがいいと考えています。